恵那峡の景観を生み出した大井ダムの成り立ち
木曽川は、木曽節の中でも「流れくる水 とめてみろ」と歌われるほど激流で水量が豊富な為、水力発電としては、絶好の適地でした。
その木曽川は我が国の水力電力の親「福澤桃介」によって堰き止められました。 福澤諭吉を義父とする福澤桃介は、大正10年、大井発電所の建設を始め、長さ276メートル、高さ53メートルという堰堤が築かれ、大正13年、ここに我が国初のダム式水力発電所が建設されました。
歴史的にも貴重な「大井ダム」は近代化産業遺産にも登録されています。またダム建設によって誕生した人造湖は、恵那峡という新たなる名勝となりました。
電力王「福澤桃介」を支えた川上貞奴
川上貞奴(かわかみさだやっこ)は、夫(音二郎)と死別した後、旧知の間柄だった福澤桃介と再会、夫婦同然の生活を始めます。以後建設現場へ川上貞奴はたびたび桃介を訪れ、大井ダム建設に協力しました。
恵那峡県立自然公園内には、桃介の銅像と共に貞奴のレリーフが寄り添うように今も大井ダムを眺めています。
時代を超え今も関西地方の電力を担う大井ダム
大正13年にダムが完成し、大井発電所は48,000キロワットの発電をしていましたが、昭和58年に2号発電所(新大井発電 所)が増設され、計80,000キロワットの電力を主に関西方面に送電しています。
ダム型式:重力式コンクリートダム
- 堤高:53.4m
- 堤頂長 :275.8m
- 堤体積 :153,000m3
- 流域面積 :2,083.0km2 湛水面積 :141.0ha
- 総貯水容量 :29,400,000m3
- 有効貯水容量 :9,250,000m3
- 認可出力:大井発電所(4.8万kW) 新大井発電所(3.2万kW)
当時の最先端芸術を取り入れた装飾デザイン
ダムの天端部分は、幅1m程の通路となっており、通路脇には、大正ロマンを感じるアールデコ様式の台座や水銀灯、アールヌーヴォーの影響を感じる手摺などが楽しめます(ダムの芸術的価値)。
また、下流を眺めれば、きっと桃介も見ただろうと思われる当時の面影を残す風景が広がります。
ダムを楽しむための散策コース
恵那峡の岸辺には、春に桜が美しい「さざなみ公園」があり、ダム湖まで周遊する散策路がつづいています。散策路を歩けば、桜の他、藤、ヤマツツジなど四季折々の自然が満喫できます。